理事長所信

2018年度 公益社団法人 岸和田青年会議所
第60代理事長 永野耕平

60th challenge to change

~ 日々変わる自分を楽しもう ~

基本方針
岸和田を牽引する人財育成
岸和田の魅力を創造
岸和田の将来を担う青少年健全育成
岸和田JCメンバーの資質と魅力の向上
創立60周年を迎えるにあたって

はじめに

 昔でいうところの孤児院、今は児童養護施設と呼ばれている施設の敷地内で私は育ちました。親と死別した子ども、虐待により親と離れて暮らす子ども、様々な理由で親と離れて暮らす子ども達と共に育ってきました。園庭で施設の子ども達と遊んでいると子ども達にとっての園長、私にとっての父が「ごはんやで」と呼びに来てくれました。子どもながらに罪悪感を覚えたものです。施設の子どもと私とを隔てる瞬間です。思えばその一種の罪悪感が社会と私との最初の接点のように感じます。大学で学ぶ頃、施設の子ども達への思いが急激に高まり子ども達を支援する仕事に就きたいと考え児童養護施設に就職しました。専門知識を得るため仕事をしながら専門学校や大学院で学び自己研鑚に努める日々を過ごしました。この頃はまだ子ども達をある意味で「特別視」していた自分がいました。
やみくもに国家資格をとり、社会福祉を学びあさる中でひとつの思いが私の中に生まれてきました。それは、子どもを「特別視」する自らのいやらしさでありました。自分自身は何も問題のない存在と捉えた上で、いわば問題のある子ども達を支援するという発想のいやらしさであります。そして、本当に必要なのはそのような「恩恵的」な「慈善的」なまなざしではなく、ただただ共に生きるということなのだと悟るに至りました。
「変わる自分」を、哀愁をもって受け入れてきた日々は、JCへの入会によって劇的に変わりました。「変わる自分」を前向きなものとして受け止める術を教えてくれたのがJCでした。ここでは新たな仲間との出会い、新たな知識との出会い、新たな視点との出会い、まさに「変わる自分」が矢継ぎ早に出現しました。そして、JCの環境はそれを肯定的に押し進めます。そして、少年の頃に感じた社会との接点はJC運動へと大きく形を変えていったのです。
私自身は運動参画の根本に、共に生きるという精神を据えています。様々な考え方をする様々なメンバーが、それぞれの視点を通じ知見を持ち合いひとつの事業に向かっていくことにより「創発」が起こり、それはやがて社会を変える種になると考えます。そのような運動を展開するためには、他者との違いを認め違いを楽しむ、過去の自分と今の自分との違いを楽しむ、日々成長し変わっていく自分を楽しむ、そんなひとりひとりのJAYCEEの有機的結合体としての岸和田JCを創っていくべきだと考えます。そのような思いを込め、2018年度のスローガンは「60th challenge to change」~日々変わる自分を楽しもう~とさせていただきます。

 

岸和田を牽引する人財育成

現代は高度経済成長期と比べると、社会が発展する礎となる人材の在り方は多様化しています。私は、ここでは「財=資本、価値を生み出すもの」と捉え、現代社会が求める人を「人財=人と人とのかかわりの中で新たな考えを生み出し課題を解決することができる人」であると定義いたします。今、多くの「人財」が育つ環境を整えることが重要です。
「人財」の構成要素の前半は、「人と人とのかかわりの中で新たな考えを生み出す」であります。これにはさらにいくつかの要素が内包されています。ひとつは他者とお互いの違いを認め合う事です。あなたと私は違うけれどあなたも私も大切です、という考えの元、相手の立場を理解し相手を尊重することが重要だと考えます。さらに「場」を挙げたいと考えます。交流の機会を多く持つことは重要です。交流の「場」については、会議というオフィシャルなもののみではなく、会議後の雑談、懇親会、その他の機会と、様々な「場」において交流することでかかわりに深みが出ます。
人財の構成要素の後半は「課題を解決する」です。仲間との協働には旗印が必要です。何か困難なことがあった場合にひとりで悩むのではなく、「課題」と名付けてチームで取り扱うことで解決への方程式が動き出します。前段で述べた他者との関係や「場」を活用し「課題」を見据え様々に形を変え得るチームでそれを取り扱うことで必ずや「課題」の解決に至ると考えます。
以上のように真に「人財」を育成する事業を展開します。

 

岸和田の魅力を創造

岸和田には多くの魅力が存在しています。それは世界的に有名なだんじり祭のみならず、多岐に亘ります。それらを再発見し内外にPRすることは行政にも民間にもなかなか手が回らない分野であり、これこそJCが担うべき領域であると言えます。これまで岸和田JCでは市民フェスティバルを立ち上げ、市民の憩いの場の創出と共にまちの魅力発見の素晴らしい機会を創り上げてきました。先輩諸兄姉のご尽力により今、市民フェスティバルは市民にとってかけがえのない場へと成長しました。今は一参加団体として市民フェスティバルに参加している岸和田JCですが、過去の経緯を知る者として岸和田の魅力の再発見をテーマに掲げ参画したいと考えます。
また、新たな魅力の発見、その種を発見する運動としては岸和田版青経塾を位置づけたいと考えます。JCは志を持つ青年経済人の集まりです。青年経済人とは、経済活動を通じて社会をより良い方向へと進めていく青年です。ここでの経済活動は経営のみならず多くのものが含まれます。事業経営は元より、それ以外の種々の経済活動に関する話題を取り上げ、時にはその礎となる哲学を取り上げ共に学ぶ機会を創出したいと考えます。

 

岸和田の将来を担う青少年健全育成

岸和田JCはこれまで幾多の青少年育成事業を展開してまいりました。この功績は数値であらわすことこそ難しいですが現在の岸和田を形成する大きな要素となっていることは間違いありません。社会的に最も力点を置くべき領域と言えます。
わんぱく相撲は、負けるくやしさと勝つ喜びを味わう子どもにとっての重要な機会となります。岸和田場所で優勝する子ども以外は全て「負け」を体験でき、仮に優勝しても大阪大会、全国大会までも視野に入れるとほとんどの子どもが「負け」を体験できます。人生において負ける経験程に自分を成長させてくれるものはありません。
少年少女サマースクールは本年度で28回目を迎える岸和田JCが誇る伝統事業であります。第1回に参加した子どもは既に社会人となり、ひょっとしたら親となり自らの子どもが参加するというような、サマースクールの世代間リピートという現象も起きているかもしれません。サマースクールを通じて子ども達が学ぶことはもちろんの事、メンバーも子ども達に何を学んでもらいたいか、いかに学んでもらえるかを真剣に考えることを通じて成長する機会になっていると考えます。
未来に思いをはせ、子ども達に多様な機会を創出する、多様な機会を提供することを通じてメンバー自身が何かを学ぶ、そのような青少年育成事業を展開したいと考えます。

 

岸和田JCメンバーの資質と魅力の向上

運動の成否を決定づけるのはメンバーの資質と魅力です。これは先天的なものに限らず、後天的に仲間との研鑚によって大きく変容するものであると考えます。
新年互礼会、卒業式、家族会などの対内的な性格の強い事業は公益社団法人としての青年会議所の事業として主たる地位を占めるものではありません。しかしながら、これらの事業を通じてメンバー相互が意見や視点の違いを交換し合い、新たな価値を生みだすことが可能になるとも言えます。そういう意味では青年会議所の運動の根本はここにあるのではないか、少なくともその多くはここに依存しているのではないかと考えることが出来ます。社会を見つめ、より良い運動を活発に行うためにもメンバーの資質と魅力の向上をはかることを重視してまいりたいと考えます。

 

創立60周年を迎えるにあたって

岸和田JCが152番目のLOMとして産声をあげたのは59年前の1959年でした。大戦の傷もまだ癒えぬ戦後のわが国の発展を先輩諸兄姉が青年経済人として陰に日向にお支えいただいたというのが黎明期の岸和田JCであったのではないかと想像します。その後、高度経済成長を迎え、日本の国力・経済力はますます高まり、JCが社会において果たす役割も時代の中で変化してきました。特に戦後にもたらされた国家観、歴史観、教育観、家族観等の精神文化の変容への警鐘を鳴らし続けてきたのも他ならぬJCであったと思います。バブル崩壊後はゆるやかな成長に置き換わると同時に世の中の価値が相対化され多様化の時代を迎えました。都市の在り方も東京一極集中で大市場を中心に潤ってきた日本経済は地方の時代へと舵を切るに至りました。
価値が多様化し地方の時代と言われる現代において、60年目を迎える岸和田JCはさらに次の時代を見据え、正確な時代を見る目を持たなくてはなりません。次の10年への明確なビジョンを示さなくてはなりません。公益社団法人として、行政ではなく高い公益性を持つ青年経済人の集合体としての役割を模索しなくてはならないのです。メンバーの英知を結集し現代社会を高度に分析し、次の10年への明確なビジョンを公益社団法人として打ち立てることを本年度の第一の目標としたいと考えます。

 

むすびに

縷々お伝えしてきましたが、よりよい社会の実現のために青年経済人として、公式非公式な「場」を通じてお互いの立場を理解し違いを活用することで新たな価値を創造しながら様々な事業を展開してまいります。スローガン「60th challenge to change」は、直訳すると「変わることへの挑戦」です。かの生物学者ダーウィンは進化論の中で、「強いものが生き残るのではない、変われるものが生き残るのだ」と述べています。生物は環境に適応できれば勝ち、出来なければ子孫は残せないというものです。そういう意味では「変わる」とは「生きる」の最上級なのかも知れません。それゆえ私は「日々変わる自分を楽しもう」と意訳いたしました。「60th challenge to change」~日々変わる自分を楽しもう~をスローガンに、大好きな岸和田をさらに大好きなまちへと、仲間と共に変えていきたいと考えます。

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